冬の巨人

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

 古橋秀之は詩人である。ここまでリリカルに、ここかで格調高く、少年の成長と喪失の物語を描きながら、ライトノベルとしても成立する作品をつくってしまうとは。見事。
 特に中盤あたりは、「物語に期待する」という懐かしい気持ちにさせてくれた。第1章や第2章の、物語のはじまりの感覚が特に好きだ。何かを知りはじめた少年の見つけた、世界への憧れと興奮にみちている。充実した読書体験だった。