深夜特急2
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/30
- メディア: 文庫
- 購入: 10人 クリック: 25回
- この商品を含むブログ (125件) を見る
沢木耕太郎が旅に出たのが26歳で、今の僕と同い年ですね。シンガポールにて、沢木が会社を辞めた理由、旅に出た理由を回想する場面がありますが、ずいぶん感傷的な場面で、僕の胸にも去来するものがあります。
何かをやり直すには遅すぎる気もするし、まだ間に合うのではとも思う。26歳の10年前は高校1年生です。この事実にはあまり気付きたくないです。
スペース
- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/05/05
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (50件) を見る
「スペース」にて、コミュニケーションの不可能性の問題を、ミステリにおける動機解明の問題と合致させ、そこから駒子と瀬尾さんの関係に落とし込んでいくあたり、よくできています。きれいなラブストーリーです。
五匹の子豚
- 作者: アガサ・クリスティー,山本やよい
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/11/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
16年前に起こった殺人事件の真犯人を、当時の関係者である5人への調査により、ポワロが見つけ出すというあらすじです。
クリスティの小説のうまさに感嘆します。フィリップ・メレディスの兄弟の重層的な人物描写など、むずかしそうなことを何気なく書いてしまっています。
クリスティ生誕120年とのことで、今後1年間早川書房より新訳が出版されるようです。できる限り未読のものを購入していきます。
花物語
- 作者: 橋本治,さべあのま
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2009/10/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
特におもしろいと感じたものが、「お年玉」という小説です。高校生の男の子と女の子が、一緒に初詣に行くため、電話をするという内容です。
ヤスコさんは、「何してるのー?」と言いました。そう言って、「それで、あんたがひとりで勝手なことしていたら、私は怒るからね。」と黙っているのがヤスコさんです。
ミノルくんは、「なんにも――」と答えました。なんにもしていない以上、正直に「何にもしていない」と言うしかなかったからです。
「だったら、私のところに電話してくりゃいいじゃないよ」と、ヤスコさんは思いました。思いましたが、黙っていました。
「だったらさ――、初詣に行かない?」と、ヤスコさんは言いました。「用もないのに電話した女」と思われるのが、ヤスコさんはいやだったからです。
「行こうか」と言ったのは、夜中に初詣に行って、さっきちょっと前に起きてきたばかりのミノルくんです。ミノルくんは暇で、誰かが誘いに来てくれるのを待っていただけだったのです。
登場人物の感情を、ここまではっきりと言葉としてしまう作家はあまりいません。そこまで直截的な言い方で描写してしまうと、あんまりだ、という印象を通常は受けるはずです。でも、橋本治にはそうなりません。
言葉(論理)の力が非常に強力でありながら、微妙な思春期の少年少女たちの感情を描ききっています。叙情的でもあります。やはり橋本治は只事ではない、と思います。
さべあのまのイラストも素晴らしいです。
変調二人羽織
- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/01/13
- メディア: 文庫
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
印象的だったのが、3作目にのっている「六花の印」という作品です。後の花葬シリーズを予感させる作品です。
まったく関係ないと思われる、明治時代と現代の物語が並行して語られていき、最後は驚きの・・・。日本語の美しさに文章を読む目が奪われ、読み終わったときは小説の構造の美しさにはっとさせられます。
連城の小説は、彼が若い頃に作った小説の方が、圧倒的に好きです。
およそ3年半ぶり
ずっと昔に放置してしまってこのブログを、復活させようと思います。
以前のとおり、僕の読んだ本について書いていきます。この3年半で、僕の中でいろいろなことがありましたが、やはり本だけは好きなので、初心に帰る思いで、キーボードにむかいたいです。
以前書いた内容は、もうすっかり忘れてしまっているのですが、昔の記事を読んでいると、なんだか、感傷的な気持ちになりますね。
通り過ぎてきた時間に気づきます。
新詳日本史
- 出版社/メーカー: 浜島書店
- 発売日: 1995/08/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
やっぱり、この手の本はお勧めできる。本としてのコストパフォーマンスが良い。
僕が高校生の頃と比べて、文化面についての多くの紙幅が割かれているように思う。
気が向いたときにぺらぺらするのが楽しい。