失楽園の向こう側
- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/03/07
- メディア: 文庫
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よくまとまっているけど、昔の本の方が面白かったなあ、というのが印象。読者にちゃんと理解させようとしている気がする。そんなことまるで考えていないような昔の本の方が、面白かったし訴えてくるものがあったように思う。結果、理解しやすかったとも思う。
興味を持った点を、拾い上げて、簡単にまとめる。
明治維新からの「近代」なる歴史の記述は、思想が右か左かという基準によった。しかし社会が豊かになり、大衆が生まれたとき、それはなくなった。そのかわりに、「経済」というものが侵入してきた。
無思想であるとする日本人の思想とは、社会に適応することである。30になるまで日本人は、社会に適応できるかどうかが試される。そして適応できたとき、30代の日本人はすでに疲れているのだ。
「自分」というものは、自分の生活から、家庭というものと会社というものをとりさった、余りの部分に現れるものだ。
性欲というものは、安定した現在の中に突如入り込んでくるランダムな未来である。だから、つかの間その未来を見たとしても、その未来は蜃気楼のように、なかなか現在とは結びつかない。