貧乏は正しい!

貧乏は正しい! (小学館文庫)

貧乏は正しい! (小学館文庫)

 橋本治「貧乏は正しい!」シリーズ、第1弾。考えてみたけど、橋本治とヤンサンの組み合わせは、なるほど、納得できる。橋本治ヤンジャン橋本治ヤンマガという組み合わせは、ちょっと違う。この3つより選ぶのなら、ヤンサンだろう。ちょっと理由ははっきり言えないけど、ヤンサンが一番しっくり来るように思う。
 本書は、橋本流の若者論といった感じになっている。
 若い男とは、本質的に貧乏である。だから、貧乏でなくなったとき、その男は若者ではなくなるのだ。だから、若い男であるのなら、貧乏であることを受け入れなくちゃいけない。なんのこっちゃと思うけど、そういうものらしい。
 今回も、いちいち肯けるようなことを言ってくれていて、頼もしい。
 社会主義共産主義の左翼思想とは、自分のことは考えないで、他人のことを考えようというものだった。でも、自分のことも考えずに、他人のことなんて考えられない。そんなの不可能だ。だから、左翼思想は潰滅してしまったんだ。
 あと、社会主義国家が破綻してしまったのは、貧乏がなくなってしまったからだ。つまり、食べるものが見つからないという最低レベルの貧乏ではなくなったてこと。社会が豊かになると、知の大衆化ということになる。そうなると、エリートの思想*1である社会主義なんて流行らなくなってしまう。
 人間はいろいろなパーツの寄せ集めからできている。若い頃とは、このことに気づいて、このパーツの取捨選択を行っている時期である。

*1:僕たちはエリートなんだから、他人のことを考えようよ、というのが社会主義の思想であるのだ。