仏教の人間観

仏教の人間観 (講談社現代新書 192)

仏教の人間観 (講談社現代新書 192)

 仏教の教えに即して、人間の生き方を教えている。宗教について、その宗教の内側から発信されている本である。正直言って、このような本を僕はあまり面白いと思わない。もともと宗教を絶対視ているわけではないし、宗教の内側に入っていこうとも思っていないからだ。
 仏教の教えでは、西洋の主体と客体の2元論を否定する。世界を自らの主観において、理解しなければならないとする。ただこれを、現象学のようにとらえると間違いえてしまうと思う。
 そして、数多くの煩悩を克服しなければならない。このために、法(ダルマ)という思想が必要になる。ダルマとは、自然の理法・因果の理法のことである。得られるべきものは得られるし、得られないものは得られない、ということを納得することだ。これを理解できないところに、業というものが生まれてくる。