宗教なんかこわくない!

宗教なんかこわくない! (ちくま文庫)

宗教なんかこわくない! (ちくま文庫)

宗教とはなにか?
宗教とは、この現代に生き残っている過去である。(p,11)

「宗教とは、”幸福”というものを求める人間が生み出した、”幸福にまつわる模索”」なのである。(中略)”人間の幸福”と”個人の幸福”を貫く横軸があって、そこに”過去の歴史”と”未来”とを貫く、時間という膨大な横軸がある―それが宗教の座標である。(p,15)

 95年のオウム事件直後に出版された本である。そのため、オウム事件にあわせて、宗教とはなにかについて語っている。
 端的に、橋本治のすごさが分かる本だと思う。日本における宗教の歴史を追いながら、日本人にとって宗教とは何であるのかについて、論じている。
 世の中には、自分の頭で考えられる人間と考えられない人間がいる。そのため宗教は、その両者にまたがって、合理的でも、非合理的でもなければならない。つまり、宗教とはこのようにも言える。「宗教」とは、頭の悪い人間によって汚されてしまった、合理的で明晰な思想の成れの果てである。