ちゃんと話すための敬語の本

ちゃんと話すための敬語の本 (ちくまプリマー新書)

ちゃんと話すための敬語の本 (ちくまプリマー新書)

 いわゆる敬語のハウツーものではない。僕たちの周りで使われている敬語とは、一体どういったものであるのか、またどのような役割を持っているのか、について述べた本である。小学生や中学生をターゲットにしているようで、文章量そのものは少ないが、例によって、結論をスパッと言うことなく、いつもと同じ橋本治の文体である。
 現代は、敬語のつかい方がおかしくなってしまった時代である。敬語のつかい方が、矛盾してしまっているのである。現代において、敬語とは「人と人との間にある関係をちゃんと確認して、人間関係をきちんと動かすための言葉」であるか、もしくは「エラそーにしているやつを相手にするときに、うそをつくための言葉」になっている。
 どうしてこのようになってしまったのか、その理由を2点挙げる。まず、現代の日本では、人をランク付けするという社会の制度がなくなってしまったため。そして、日本人は自分の上下関係ばかりを気にしてきて、横の関係をおろそかにしてきてしまったためである、としている。