神と仏
- 作者: 山折哲雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1983/07/18
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
まず、神は見えざるもの、つまり不可視性、一方仏は見えるもの、可視性の存在であるといえる。
第2に、神と仏の作用にかかわる違いである。「イタコ」など神は媒介するもの、一方、修行僧を見ていればわかるように、仏は体現するものとしてある。この点より、おもしろい考察が続いている。神は、肉体よりはなれた精神が浄化して聖化してなる、とも考えられ、ここには、肉体に対する蔑視、嫌悪がある。一方仏のほうには、肉体と精神という2元的な世界観は存在しない。精神は肉体より離れることはない。仏になろうとする試みは、徹頭徹尾、肉体という場面において演ぜられるものである。ここに仏教独自の存在領域がある。
第3は、祟りと鎮静という基準である。神は祟りという局面を、仏は加持祈祷、祟りを鎮静するという局面を持つ。これは「源氏物語」を思い出せば、すぐに納得できる。
そのほかに、おもしろかった指摘の箇所。日本の神は、「場所」というものに強くひきつけられている。社会に予言を与えるのではなく、共同内の奥に深く浸透し、没個性的な存在に転生していくのだ。