はじめての進化論。

はじめての進化論 (講談社現代新書)

はじめての進化論 (講談社現代新書)

 キリスト教的な世界観から、ダーウィンの「自然選択説」がどのように登場してきたのか、というところから本書ははじまる。進化論に関する複数の考え方を、わかりやすい日本語で、具体例を多く用いて解説してくれている。ただどうしても、話があっちこっちに行く関係で、よく理解できないところもあった。これは筆者の責任ではなく、僕の理解力についての問題だが。
 結局大きく括ろうとすると、進化論とは、生物が独特の生活様式にあわせて特殊化していくということである。それは複雑にも、単純にもなっていく。進化とは、優れていく過程ではなく、環境に適応していく過程であるのだ。
 いろいろ具体例が出てきた中で、おもしろかった話。北欧に住むねずみの仲間レミングスは、仲間の数が増え過ぎると、崖から命を捨てることで有名である。一見、これは食糧難から集団を守る行為と見ることもできるが、実は、食料を探して集団で移動していたところ、結果崖から落っこちて自殺をしているかのように見えるだけ、というものらしい。ある生物の個体が、「種の生存」を守るための行動をするというのは、ほとんど自然界では見つけられないらしい。生存のための適応を高めようと、個々が行動することにより、単にそう見えているだけらしい。