共和党と民主党
共和党と民主党―二大政党制のダイナミズム (講談社現代新書)
- 作者: 松尾弌之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/01
- メディア: 新書
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まず、両政党の特徴を述べておく。共和党はビジネスよりであり、保守派が多く、自由を優先する。代表的な大統領は、フーバー、アイゼンハワー、ニクソン、レーガンである。一方民主党は、福祉国家的な傾向が強く、改革派の印象があり、平等を優先する。南部の州に支持者が多い。代表的な大統領に、ルーズベルト、ケネディ、クリントンがいる。
民主党誕生の瞬間は、そのままアメリカでの政党誕生の瞬間である。それを行ったのは、第3代大統領のジェファーソンである。当時の政界は富裕層で名家出身者による、貴族政治が行われていた。それに対抗するため、ジェファーソンは「民主協会」なる市民団体を作り、市民の政治への参加を呼びかけた。それが、今の民主党の起源である。
共和党の誕生は、リンカーンと南北戦争とともに起こる。奴隷解放問題によって南北に分裂した合衆国は、連邦側の勝利により終結し、連邦側であってリンカーンとその支持者たち、それはつまり共和党が、その後の政治のイニシアティブを握る。その時、ちょうど重商主義による経済の発展を迎えていた市場を支えるため、与党である共和党は経済界を支持する事となる。それによって、ビジネスよりの共和党という特色が出来上がる。
南北戦争後、長く共和党による政治の時代が続くことになるが、それは大恐慌の発生とともに終結する。ルーズベルトによるニューディール政策はとても大きなもので、その後のアメリカの政治は、このルーズベルトによるニューディール政策にどう対応しているかが、大きな課題となっていく。アイゼンハワーによる「赤狩り」とは、福祉国家的傾向の強いニューディール体制の危険性を指摘した、つまり反民主党キャンペーンなのである。しかし、70年あたりになるとニューディール政策にも限界が見えはじめ、終焉を迎える。また同時期に、南部の州から民主党離れが始まったり、世界的に見て、人間の科学や合理性に対して懐疑の目が向けられ始めるのも、この時期であるのは象徴的である。