自殺の心理学

自殺の心理学 (講談社現代新書)

自殺の心理学 (講談社現代新書)

 書かれていることは、自説をする人間はどのような状況にいるのかということ、またその予防のためには何をすればいいのかということ。
 自殺の原因を単純に決め付けてはいけないという。その点で、少年少女たちの自殺がいじめによるものだとすぐに決めつけ、それ以外の考えを遮断してしまうマスコミの報道は、短絡的で間違っている。自殺とは、長い間に蓄積されたいろいろな感情によって起こるもので、簡単に言語化できるものではない。そして、マスコミはその自殺自体をセンセーショナルにあつかうのに対し、自殺の予防のための報道を怠っている。日本人は必要以上に自殺をネガティブにあつかって、真摯に向き合って話し合うことを避ける場合が多い。

自殺行動というのは、突発的な予期せぬ出来事ではなくて、生活史の中で永年にわたって認められる自己破壊傾向の最終的な結末であるという考え方です。(p,56)