社会科学入門

 1954年に第一刷が出版されて、その10年後の64年に書き直されている。そのため、決定的に古いという箇所が多い。今読んでも重要であろう部分はあるのだろうが、その前にまず、古さが目立ってしまう。終戦から10年ほど過ぎた当時の日本の思想が、どういったものであったのか、それを知るための化石的資料となってしまっている感が強い。
 西洋に対する日本の劣等意識や、革命史観などの要素を拭いとりながら読めば、なるほど鋭いことが書いてある。それでも、今この本を読むことに価値があるのかについて疑問がある。