天切り松闇がたり 第1巻 闇の花道

天切り松 闇がたり 1 闇の花道

天切り松 闇がたり 1 闇の花道

 中学生のころに読んだことがある本。ふと思い立ち、本棚の奥から引っ張り出してきて、読んでみた。
 おもしろい。すごい。とんでもない小説的技量だよ。とんでもない職人芸だよ。
 あらゆるところにうまさが目立つのだけど、導入部の部分に特にうまさが目立つ。小説において導入部って、とても大切なところになるのだろうけど、そうである分難しいところでもあると思う。つまりは、どれだけの情報をいかに提示するのかというのが、問題になっていると考える。物語やキャラクターに感情移入するには、情報を提示しなければならないけど、それが多すぎれば読者の消化不良を起こすし、作品のバランスが悪くなる。どのようにして読者にフックを用意するかということか。
 また、伏線の張り方も超絶だった。キャラクターや設定、ストーリーの進行に合わせて提示された情報が、そのまま伏線に利用されている。あれは伏線だったのか、という驚きが何ストーリーとか。
 いやいや、すごい技の連続だった。