家族八景

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

 テレパシーの超能力をもった主人公の七瀬は、いろいろな家庭で使用人として働く。七瀬の能力を使って、一見おだやかに見える家庭のドロドロとした内幕を暴きながら、七瀬自身がひとりのあどけない少女から美しい女へと成長していく過程をえがく。
 筒井康隆らしい均整のとれたブッラクなユーモアにあふれる作品。
 ただ現代の日本だと、内幕を暴くまでもなく、一瞥しただけで、すっかり疲弊しきってしまっているのが、あきらかになっているのが家庭の現状である。