フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

 数学者たちが、フェルマーの最終定理を解くまでを描いたノンフィクション。おもしろいとして有名だけれども、おもしろかった。
 数学なんて、僕は高校生の時に完全に挫折してしまったのに、読むのにまるで苦労しない。難しい数学の概念を本書ではスラスラと紹介してくれている。そこが、本書のもっとも優れている部分だろう。
 数学の世界とは、「将棋の子」を詠んだ時に将棋の世界にも感じたけれども、まさにプロスポーツ、それも減量に減量をかさねて、ズタボロになりながらも必死に立ち上がって、チャンピョンを目指す、それはボクシングの世界のようだと感じる。勝ちと負け(もしくは正しいか間違っているか)がはっきりと分かってしまう世界で生きるということのおそろしさと壮絶さは生半可なものではないのだろう。また、それだけ熱いドラマが多そうでもある。