英語の感覚(上)(下)

英語の感覚〈上〉 (岩波新書)

英語の感覚〈上〉 (岩波新書)

英語の感覚〈下〉 (岩波新書)

英語の感覚〈下〉 (岩波新書)

 古本屋で買ったものだが、当たりだった。
 英語と日本語の構造を対比しながら、英語の言語システムを明らかにしていく。普段、僕たちが暗黙のうちに納得している英語の文法を、論理的に1つ1つ解体していってくれる。
 日本語は動詞が最後にくるため1文の終わりがはっきりしているが、英語は続けようと思えばいくらでも続けることのできる文章である。その点から、日本語は求心的で静的な言語であると見ることができる。俳句のような短型詩が発達して理由もこのような言語構造にあるのだろう。それに対して、どこまでも続けられるという点から英語は遠心的で動的な言語であると言える。日本人の自我が流動的であって(もしくは存在していなくて)、英語国人の自我が不動のものであるという点も影響しているだろう。
 他にも、英語では動詞を「状態」「継続」と「動作」「瞬間」の2つに分けている、といった指摘や、直接法によって存在界を、仮定法によって非存在界をあらわして、その2つを命令法がつないでいる、といった目からウロコな文章がたくさん登場する。
 非常にためになる本だと思う。英語にたいする視点が少し変わるようだ。