将棋の子
- 作者: 大崎善生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/05/15
- メディア: 文庫
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著者は日本将棋連盟の中で、ある将棋雑誌の編集長をしていた経歴をもつ。奨励会でプロを目指す院生たちを、まさに目の前で見てきた人物である。
すばらしい本である。どうしようもなく胸を打つ話も多い。
何か信じて生きていくということはどういうことなのか。絶対的なものを求めようとすること、それはバランスの悪い生き方なのだろうか。もっと上手く立ち回って生きていくべきなのだろうか。
本書の最後、この作品の主人公ともいえる成田が、将棋の夢やぶれ挫折して、現在は人生の苦渋をなめているにもかかわらず、それでも将棋が自分の支えだと話す場面では、言葉には言い表せないようなものを感じる。
良書である。