ブルースカイ

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

 ハヤカワJAから出た桜庭一樹の小説。
 物語は3部構成になっている。1つ目が、17世紀の魔女狩りの時代のドイツ、2つ目が未来のシンガポール、3つ目が現代の日本。「少女」ががつくられる西洋近代以前、「少女」が消失してしまった未来、そして「少女」が存在している現在、と構成されている。
 おもしろいのが第2部の、桜庭一樹が描く未来予想図からの少女観。起伏のない物語がつづくので、第1部にくらべると短調なのだが、その描かれた未来像には目を見張る。
 アオイソラはケイタイを世界と繋がるものと考えていた。なにをもって「繋がっている」とするのは、難しい問題だ。心が繋がっているなんて言ってみても、他人の心の中をのぞけるわけでない。それでは、みんなと同じようにふるまえば、繋がっているとおもえるのだろうか。