ROOM NO.1301 #3 #4

ROOM NO.1301〈3〉同居人はロマンティック? (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301〈3〉同居人はロマンティック? (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301 #4 お姉さまはヒステリック! (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301 #4 お姉さまはヒステリック! (富士見ミステリー文庫)

 シリーズ3作目と4作目。姉のホタルとの問題やシーナの登場によって、この作品の構造がぐっと分かるようになった。これまでは、エッチだなあみたいな印象が強かったけれども、これによって作者の新井輝がこの作品で何をやろうとしているのか、つかみやすくなっている。
 そこで、各登場人物をまとめなおしておきたい。

  • 健一;うまく自分の気持ちをつかめない高校生
  • 綾;社会に適応できなかった芸術家
  • 冴子;セックスしないと眠ることのできない健一のクラスメート
  • ホタル;弟の健一のことを真剣に愛している健一の姉
  • 日奈;心はおとこ、体はおんなの健一のクラスメート、双子の姉である加奈を愛してる
  • 刻也;?

 綾は「気持ちが良ければいい」と言って、健一は「問題がない人間関係なんてない」と言う。そして、「問題のあることをしたとは思っている。でも後悔はしてない」とホタルは言った。
 1301号室を中心に、健一の周りの人間関係はぐちゃぐちゃだ。それらは純粋なのか、歪んだいるのか、ただ、今にもバチンと壊れてしまうような不安な空気ががただよっている。この後、作者がどのような解答をしめしてくれるのか、興味深い。そこでの鍵が、千夜子になるのかな。