ラカンの精神分析

ラカンの精神分析 (講談社現代新書)

ラカンの精神分析 (講談社現代新書)

 フランスの精神分析家、ジャック・ラカンについての入門書。ただ、入門書としては、少し敷居が高い気がする。
 他の本でさわりだけ教えてもらっていたので、ラカンについては、鏡像段階の考えなど何となく知っていた。それでも、この本をうまく理解することはできなかった。「対象a」って概念が、まるで分からなかった。
 以下は本文中の説明だが、

他人の中に埋め込まれ、私にとって非人間的で疎遠で、鏡に映りそうで映らず、それでいて確実に私の一部で、私を私だと規定するに際して、私が根拠としてそこにしがみついているようなもの、これをラカンの用語で「対象a」と言う。対象aの代表格は、乳房、糞便、声、まなざしの4つ組である。(p,88)

 これは一朝一夕で理解できる概念ではないだろう。とほほ。
 あと、この本にいちゃもんをつけさせてもらえるのなら、ハッキリ言って読みづらい。本の構成がどうも曖昧で、まるで背骨が通っていない。論理的な構成がされていないと感じる。
 精神分析の全体像や、その中でのラカンの位置などがすでに分かっている人が読むのに適している。
 知っているてのと、理解しているってのは違うのだよねえ。