デカルト

デカルト (岩波新書)

デカルト (岩波新書)

 西欧近代の出発点、ルネ・デカルト
 構造主義についての本を読んだあとだと、デカルトの考え方に対していちいち横やりが入るような形になるので、逆にわかりやすい。現代、デカルトの思想はほとんどが相対化されてしまっているのであろう。では現代、デカルトの思想にどういった価値があるのだろうか。そもそも、思想に価値なんてあるのだろうか。
 思想の価値があるとするならば、それはその思想に至るまでの論理的経路の部分にあると、僕は考えている。思想そのものではなく、その思想にたどりつくまでの経路を振り返ることで、僕たちは、自分自身で思考するときの手がかりを手に入れることができるのではないだろうか。
 そう考えれば、デカルトの思想は十分にすばらしい。そして美しい。神の存在を証明する章での、有限である僕たち人間が、自分達を有限であると考えらるというのは、無限の存在がどこかになくてはならない、という論理の流れは、ぞっとするほど美しかった。
 最後に、デカルト的2元論とはよくいわれる主体と客体という形での2元論でなく、

一方自己が世界を客観的に見据える科学的知性を行使するとともに他方はその自己はそういう世界の中で自由に意思的に決断する、という、知性的客観性と意思的主体性との2元論であります。(p,179)

 というものらしい。うーん、これも理解が難しいな。