ROOM NO.1301 #1 #2

ROOM NO.1301―おとなりさんはアーティスティック!? (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301―おとなりさんはアーティスティック!? (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301〈2〉同居人は×××ホリック? (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301〈2〉同居人は×××ホリック? (富士見ミステリー文庫)

 キャラクターの造形や舞台設定などはハーレムマンガのそれである。物語も、読者にとって都合のいいようにすすんでいっていく。そういった話の中で、不意にリアルだと感じるような描写が挿入されている。ここでいうリアルとは、データベース化されたアニメ・マンガ的キャラクターからは、ふさわしくないととれる感情のことである。(そもそもフィクションにとってリアルなキャラクターって何なのだろう)オタク的な気持ちのいい世界から1、2歩はずれたところにある作品だろう。もっとも、そこも充分タク的に気持ちのいい世界だし、そこから既存のオタク的文脈に横やりを入れようなどとしているわけでもない。いびつな世界観の作品を非常に真摯に作り上げている。そのことによってむしろ、ライトノベルの世界の自己完結性を際立たせているように感じる。そしてそれが、小説というより、童話や寓話といったものに近づいているような気がする。
 とまあ、グダグダ書いているけど、おもしろかった。続きも買ってきます。