教養としての世界史

教養としての世界史 (講談社現代新書 80)

教養としての世界史 (講談社現代新書 80)

 たった200ページ強の紙数で、世界史全部をまかなおうとすること自体が不可能であるが、それでも上手くまとまっていると思う。
 おもしろかったところをちょっと紹介、
 古代ギリシャ人は芸術と知性を、古代ローマ人は法と支配の精神を、ヨーロッパにあたえた。
 中国の歴史にはいくつかの特色を見て取れる。1つは、中国の歴史とは漢民族と北西異民族との抗争の歴史と読むことができる。さらに、中国を支配したい民族で、中国文明に同化されなかったものは、ほとんど存在しない。2つめは、中国の政治形態は、清朝の終わりまでずっと、専制主義で一貫していた。3つ目が、学問思想がずっと固定されていた。さらにおもしろいものが、暴君であればあるほど、働きものだった。
 封建社会がつぶれたのは、近代によってではない。封建社会より現れた、封建都市によって潰されたのだ。商工業の発達により、お金の価値が上昇、都市が発達。そこに領土を得ることのない十字軍の戦争が重なり、それにより領主の地位が低下したのが原因である。
 ルネサンス宗教改革は、片や絢爛たる南方精神の表白として、片や厳粛な北欧精神の表白として、共通性を持ち、根本精神に還ろうとする近代精神の目覚めである。
 啓蒙思想とは、ベーコンにはじまる経験論とデカルトにおける理性論との流れが重なったものである。