シュナの旅

シュナの旅 (アニメージュ文庫)

シュナの旅 (アニメージュ文庫)

 今まで読もう、読もうと思っていたけれど、どうしてか読んでいなかった本。80年代の前半、まだ映画「風の谷のナウシカ」が制作される前の、宮崎駿チベットの民話をもとに描いたもの。マンガというより、絵本に近い。
 「ナウシカ」のDVDについていたオ―ディオコメンタリーで、庵野秀明宮崎駿について、もともとはアニメ―ションの人ではなく絵本の人だと評していた。本作を読むとそれをはっきり実感できる。
 多くの作品でレイアウトマンとして活躍してきたその職人的才能が、本作でも結実している。コマの中に気持ちよく配置された物体とその間に存在している精緻な空間。その技術に息を飲む。青色で表現された夜のシーンにハッとする。
 物語自体はいかにもハヤオといったもの。労働の尊さを謳ったり、意志の強くそれでいて母性的なお姫様が出てきたりと、やってるなーて感じ。