大正デモクラシー

大正デモクラシー―シリーズ日本近現代史〈4〉 (岩波新書)

大正デモクラシー―シリーズ日本近現代史〈4〉 (岩波新書)

 岩波新書の新しい日本近現代史の中の1冊。取り上げられているのは、題名の通り、大正デモクラシー
 大正デモクラシーとは、日露戦争に勝利して帝国になりあがった明治日本が、従来の構造では対応できなくなったことに由来して怒る運動の総体である。さまざまな階層より、旧来の社会構造と秩序に対して展開されている。そしてその運動は、日露戦争勝利の狂気に後押しされて、帝国主義の思想から生み出されたナショナリズムに近い「国民」の意識からやってきている。
 同時に大正時代は、大正モダニズムと呼ばれ市民社会が大きく花開いた時代でもある。東京の郊外には、サラリーマンのために文化住宅が多数作られるが、貧民層も増大していた。都市の拡大によりできた労働力のため、農村よりやってきた若者たちがそれにあたった。この時代は、そのような都市の貧民層を土台にした、いくつもの新興宗教が多数出現した。