活字のサーカス

活字のサーカス―面白本大追跡 (岩波新書)

活字のサーカス―面白本大追跡 (岩波新書)

 本好きの旅人、もしくは旅好きの読書家である椎名誠の本と旅にまつわるエッセイ集。本が好きなんだなーと思いが伝わってくる。同じく本が大好きな人間としては、あるあるこんなことと相槌を打ちながら読み進めた。
 本と旅はどこか似ているな、と考える。どちらもきわめて個人的で孤独な作業であると同時に(本当の旅とは本質的にそのようなものであると思う)、世界の広さを認識させてくれる。本にしても旅先にしても、そこは異郷であり、読者も旅人も部外者であり観察者である。しばしの間そこにとどまることはあっても、いつか僕たちは通り過ぎていく存在である。