キッド・ピストルズの妄想

 パンク探偵キッドと、その相棒のピンクが活躍するミステリ小説第2弾。今回もひねりがきいていながら、実に正統的なミステリが展開されている。ミステリとしての土台がしっかりしているから、ここまで表層のところで自由にできるのだろうと思う。やっぱり、小説書くのがうまい人だと思う。
 たった一つの単純なトリックによって、支えられているようなミステリ小説が好きだ。その単純なトリックを、読者の先入観を左右することで覆い隠して、見事な謎として成立させてしまう。そのようなところにミステリ小説家の職人の姿を見る。