ジョン・レノン対火星人
- 作者: 高橋源一郎,内田樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/04/10
- メディア: 文庫
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そして再読。あれだけつまらないと思った小説を、僕が今、どのように感じるのか、知ってみたかった。
今なら、なんとなく分かるところがある。本書のあとがきで高橋本人も書いているように、この作品のなかには文学性なんて微塵もない。とげとげした、痛い悲しみだけが目立っている。「すばらしい日本の戦争」や「テイタム・オニール」、「パパゲーノ」がどんな意味をもっているのか、今の僕だとなんとなく想像できる。もちろん、そんなことはまるで意味のないことだし、正しい読み方でもないと思う。
知識を得ることによって新たな読解ができるようになり、今までとは違う感性のスイッチがはいることになる。そのことが、作品を正しく理解していることにあたるのかどうか、僕には分からないが、昔のように読むことのできなくなったことへの寂しい想いはある。