世界の3大宗教 かなり素朴な疑問篇

もっとよくわかる世界の三大宗教 かなり素朴な疑問・篇 (KAWADE夢文庫)

もっとよくわかる世界の三大宗教 かなり素朴な疑問・篇 (KAWADE夢文庫)

 以前に同じく「歴史の謎を探る会」によって編集された、「世界の3大宗教」の続編となる。前回の本ではこぼれたところを、拾い取っているといった印象。今回もとてもわかりやすい。

  • 「キリスト」とは、もともとヘブライ語の「メシア」のギリシャ語訳で、「油を注がれたもの」という意がある。それが時代を経るにしたがい、民を支配者の圧迫から解放し救いに導く指導者を指すようになった。イエスが登場した時代、イスラエルは異教徒ローマ人の支配下にあったため、メシア待望論が根強くあったらしい。しかし、イエスには政治的な意味で、イスラエルをローマから開放する意思はなく、あくまでも信仰上の救いを目指していた。これがユダヤ人たちを失望させる。キリスト教ユダヤ教の違いとは、イエスを救い主と捉えるか否かの違いと言える。ユダヤ教はイエスを救い主とは認めず、今なお救世主を待ち続けている。かたやキリスト教では、十字架で処刑され人類の罪をあがなったイエスを、救世主だとあがめている。
  • 偶像崇拝の禁止といってもさまざまである。イスラム教やユダヤ教では、像そのものへの礼拝を禁止している。キリスト教では、像そのものではなく、像が表現しているものへの礼拝と考える。つまり、イエスやマリア様は神に祈りをささげるための触媒であって、それ自体が礼拝の対象ではないのだ。
  • インドには「ヒンドゥー」にあたる言葉はない。「ヒンドゥー」とはヨーロッパで作られた言葉で、ヒンドゥー教徒はもともと宗教というよりも、インド人の文化に溶けこんだ文化そのもので、日本の神道に近い。