ゲーム的リアリズムの誕生

 「動物化するポストモダン」の続刊にあたる。そのためか、前作と重複している部分がかなりある。その中から、僕が新しいと感じた部分を抜き出す。
 現代のメディアは、「コンテンツ志向メディア」と「コミュニケーション志向メディア」に別けられる。前者は、テレビやラジオなどで、後者は、ネットゲームやインターネットである。
 キャラクター小説を理解する際、東は、「環境分析」という言葉を使う。「環境分析」とは、作品は作品内でだけで成立していると考えないで、作者がその物語にこめた思いのほかに、物語がある環境におかれ、流通されると、そのところにおいて別の主題を宿すようになるということである。
 ポストモダンの文学では、物語と現実の反映関係が確保できないため、キャラクターの生はメタ物語的な人工環境データベースへと拡散し、読者の感情移入の場所も、物語の主体からメタ物語の主体へと、移ってしまった。