虹のヲルゴオル

虹のヲルゴオル (講談社文庫)

虹のヲルゴオル (講談社文庫)

 あー、おもしろいなあ。すごいなあ。すげえおもしろい。
 13人の女優を取り上げて、橋本治が映画について語っているわけだけど、橋本治のことだから、話はあっちこっちに飛んでいく。でもそれが楽しくておもしろい。
 相変わらず、するどい視線とたしかな知性がほとばしっている。ヘップバーンを「初めての舞踏会の似合う女の子」と表現したり、イングリッド・バーグマンを「もっとも魅力的な、凡庸な主婦」と表現している。これはうまい。
 バーブラ・ストライサイドをあつかった「もしも女の子が可愛くなかったら」なんて、よくできた短編小説のようだ。
 読むと、すっごい幸福になれる本である。ああ、こんなすげえ本があるから、読書家をやめられないんだよなあ。