女学生手帳

女学生手帖―大正・昭和乙女らいふ (らんぷの本)

　大正から昭和初期までの少女文化をまとめている。写真やカラフルなイラストが多数使用されていて、本書の中で紹介されている、当時に人気だった少女雑誌を意識したつくりになっているのだろうか。
　大正期は、戦争の特需も手伝って、大衆文化が花開いた時代である。現代の｢かわいいカルチャー｣のはしりがあると、考えられると思う。しかしまだ、少女たちの存在は籠の中の小鳥といった感じであろう。かわいいカルチャーとは本来、籠の中で暮らす少女たちの、きっとままならないだろう自分の未来を慰めてくるもの、であったに違いない。
　それが現代のような形に変容してきたのは、いったい何が原因であるのだろうか。窮屈だけど安全だった籠から抜けて、小鳥たちはどこを目指したのだろう。籠の外の大きな世界は、小鳥たちにやさしい世界だったのだろうか。