ゲーデルの哲学

ゲーデルの哲学 (講談社現代新書)

ゲーデルの哲学 (講談社現代新書)

 ゲーデルの不完全性について、数式を一切使わずにわかりやすく説明してくれている。また、以前に野矢茂樹の「無限論の教室」を読んでいたので、イメージをつかめやすかった。
 さらっとおさらいしておくと、不完全性定理とは、

  1. システムSが正常であるとき、Sは不完全である。
  2. システムSが正常であるとき、Sは自己の無矛盾生を証明できない。

 これは、「嘘つきのパラドックス」の話から類推できる。
 本書では、この不完全性定理を土台にして、その後のゲーテルの思想の変化を中心にあつかっている。筆者が書きたかったこととは、不完全性定理のことについてより、おそらくこちらであると思う。
 人間機械論というのが、それである。人間の精神は脳に還元できるのかとか、人間の精神はいかなる有限機械を上回るのかとか。
 ちなみに、ゲーテルは反人間機械論である。