世界史のなかの満洲帝国

世界史のなかの満洲帝国 (PHP新書)

世界史のなかの満洲帝国 (PHP新書)

 かつて満洲帝国のあった、中国東北地方の歴史についてあつかっている。満洲帝国が登場するのは、だいたい150ページを過ぎた後あたりからで、始皇帝が中国を統一する以前の歴史より、解説している。
 本書では、中国文明の原型を、漢字によるコミュニケーションと商業ネットワークにあるとしている。そして、国民国家としての「中国」という枠組みで、中国史をながめることを拒否している。でも、これは当たり前といえば、あまりにも当たり前過ぎること。そもそも国民国家というものが、近代の生み出したフィクションであるのだから、それをもって歴史をながめること自体間違っている。ただ、その枠組みを取っ払ってしまうと、歴史は恐ろしく理解しずらい。その意味で、本書の内容も複雑だ。