質問する力

質問する力 (文春文庫)

質問する力 (文春文庫)

 素直に信じるのは危険だけど、耳を傾ける価値はある人物。それが僕の、大前健一にたいする印象である。
 本書の中で、著者は1985年を時代の変換点に設定している。それを特徴づけるものに、ゴルバチョフの登場(東西冷戦の終結)、プラザ合意円高ドル安)、ウィンドウズのバージョン1の発売(情報化時代の幕開け)の3つをあげている。1985年と設定しているのは、わかりやすさを求めてのことというのもあって、厳密にではないだろう。
そのあたりより、西欧のまねをただしているのだけでは日本経済は成長できなくなり、また政府の示すとおりに人生を送っても、国民も必ず幸せになれるとは限らなくなった。そのような時代を生きるにおいて大切なものを、本書は「質問力」としている。
 では、「質問力」とはどのようなものであるか、具体的な事例を多く出していろいろと紹介している。
 就職前に読んでおいてよかった本である。文部科学省が手をださなかったから、漫画やゲームが日本で発達した、という記述に涙。