グレート・ギャッツビー
- 作者: スコットフィッツジェラルド,Francis Scott Fitzgerald,村上春樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 23人 クリック: 170回
- この商品を含むブログ (482件) を見る
すでに僕は、野崎訳の「ギャッツビー」を何度か読んでいる。それにくらべると、読みやすいなと感じた。野崎訳が、格調高く流麗な文章であったとすると、こちらはやはり、どこか村上春樹の文章に引き寄せられているような印象がある。
そういった影響もあってか、本書の方がこの作品の「狂おしいまでの切なさ」といった部分を、上手く日本語にうつしとっているようだ。物語の中で、ニック・キャラウェイのキャラクターが目立ってきている。村上春樹にしても現代の日本人にしても、大きく感情移入するキャラクターとは、このニックになるであろう。
じりじりと近づいてくる漠然とした破滅を感じながら、ただ傍観者であろうとするニックの姿は、この作品がおそろしいほどに現代的な小説であるということを、証明している。