少女革命ウテナ脚本集 薔薇の花嫁 上 下

少女革命ウテナ脚本集 (上) (アニメージュ文庫 (N-90))

少女革命ウテナ脚本集 (上) (アニメージュ文庫 (N-90))

少女革命ウテナ脚本集 (下) (アニメージュ文庫 (N-91))

少女革命ウテナ脚本集 (下) (アニメージュ文庫 (N-91))

 高校生だった僕にとって、「少女革命ウテナ」は完璧の作品だった。テレビの前で、ひれ伏していた。
 本書上下巻では、テレビシリーズより榎戸洋司の脚本を17編を収録している。榎木洋司の脚本は読んでいるだけで、もう鳥肌が立ってくるほど、才能を感じ取ることができる。怪しい雰囲気にクラクラする。
 以下は引用、

幹 「―このピアノ、少し、音がずれてるようだけど」
七実「そう?先週、調律させたばかりよ」
幹 「なら、調律が必要なのは、僕の方かもしれない……」(p.55)

アンシー「……ウテナ様も、私にはときどき、なつかしい人みたいに、思える時があります」
ウテナ 「(少し驚き、アンシーを見て)ボクが?」
アンシー「ええ」
ウテナ 「……君がそんなこと言うなんて、めずらしいね」
アンシー「すいません」
ウテナ 「違うよ、うれしいんだ」(p,11)

A子「だから私は魔女になったの。お姫さまになれない女の子は、魔女になるしかないのよ!」(p,83)

冬芽 「……本当に友だちがいると思ってるやつは、馬鹿だよ」
ウテナ「(微笑み)あれ、知らなかったのか?ボクは馬鹿なんだよ」
冬芽・西園寺「……」(p,107)

 ミッキーと梢ちゃんの関係が好きだった。細田守の演出した樹里先輩の話を何度も見かえしていたのをおぼえている。
 また、細田守ファンは一見の価値があるだろう。脚本の段階からコンテまでで、細田がどんな風に手をくわえてきているかよく分かる。