無限論の教室

無限論の教室 (講談社現代新書)

無限論の教室 (講談社現代新書)

 不思議な本。
 学生が立った2人しかいない大学の哲学の授業を模して、無限論についておしえてくれる。
 アキレスと亀のパラドクスから始まって、実無限の立場、可能無限の立場、交互に両方の対場に立ちながら、最終的にはゲーデル不完全性定理にたどりつく。いろいろな概念が出てきて、それを前提にどんどん話が進んでいくので、少しでも理解できていない部分があると一気においていかれる。話を展開していく立場がコロコロ変わるからまた複雑で…。ええと、カントールは実無限の立場で、直観主義は可能無限だよね。それで、メタ数学とかの形式主義は実無限だったような…。読んでいる間、脳みそのしわがグググと寄っていくのを実感できた。
 あとがきで名前が出てきているけれども、無限に実体なんかないとして実無限を否定して、可能性だけが無限にあるとする可能無限の立場は、ウィトゲンシュタインの「語りえぬものは沈黙しなければならない」とつながる。ただ、さらに深い部分だとウィトゲンシュタインとこの考え方は決別するらしいのだけれども、分からないなあ。
 ウィトゲンシュタインについて宿題ができてしまった。