術語集

術語集―気になることば (岩波新書)

術語集―気になることば (岩波新書)

 <アイデンティティー>や<記号>や<パラダイム>など、現代社会を読み解くための40個のキーワードを、それぞれ5ページを使って紹介していく。頭の中を整理整頓するのに便利であろう本。
 以下は僕がおもしろいと思った点。
 子供の遊びなどから見られる「子供の世界」は、大人たちの文化の外にあり、それは、大人の、この世界の秩序にたいする侵犯である、と大人たちはとらえる。そこで教育や発達と呼ばれるものは、子供たちの本来の姿を排除する装置であり、子供たちに、自分の本来の姿を覆い隠して、秩序の中に組み込ませその中に自分の場所を確保させようとするものである。
 この本が出版されたのが84年なので、ゆとり教育前の文章である。そういった点からも、この文章をとらえるのに難しいところがあると思う。
 しかし、すでにできあがっている秩序の中で、自分の場所を確保しなければならないなんて、こどもたちは幼くして、大きな問題にぶつかっているのだな。