<むなしさ>の心理学
- 作者: 諸富祥彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/09/19
- メディア: 新書
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前半部はカウンセラーであり、大学で教鞭もとっている著者が見てきた、主に若者たちの心の問題について、具体例をたくさん出しながら語っている。僕自身、よく理解できるような話も多い。
後半で、トランスパーソナル心理学についての説明が始まる。フランクルの心理学についての説明を読んでいるときは、どこの新興宗教だよみたいに思っていたのだが、次のケン・ウィルバーの<コスモス>心理学には惹きつけられた。
それは、「宇宙にはこころがある」という前提から出発して、
人間は、進化する<コスモス>の一部として産み落とされた。そしてそのことを自分で知ることができる。ならばその意味を十分に自覚して、みずからの心を十全に発達させ進化していくべきである。人間はその使命を負っている、(p,152)
という心理学らしい。
僕が以前、「ハッブル望遠鏡が見た宇宙」の感想で、まるで宇宙も生きてるみたいだねなんて書いた部分とかなり近い。こういう考え方でもって、この世界や人生を肯定していこうというのはかなり好きだと感じる。この手のことは、多くの人が共有しているものなんかな。
全体として、悩みを抱えているような人が読むと救われるようなことが書かれていて、すこし近寄りがたく感じてしまうところもあるのだけれども、その文章には力強さが満ちている。