涼宮ハルヒの動揺 涼宮ハルヒの陰謀

涼宮ハルヒの動揺 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの動揺 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

 あっかんべーハルヒがかわいい「涼宮ハルヒ」シリーズの第6巻と朝比奈さんバージョンの第7巻。6巻は短編集で、7巻は長編。
 僕は「動揺」の短編たちの方がおもしろかった。
 物語には、その作品の根幹をなす部分と、枝葉となる部分に別れていると考えている。物語のプロットやテーマの表現の仕方などは根幹の部分、宮崎駿の「ラピュタ」における、パズーのバックからでてくるおいしそうな目玉焼きや海賊たちが乗っているおちゃめでかっこいいトンボ型のメカなどの物語のメインストリートの部分には直接関わってこないところが枝葉の部分だ。
 そして、谷川流という作家は圧倒的に前者、根幹となる部分が得意な作家である。物語の構成力などの作家としての技量は目を見張るものがある。だからなのか、長編の「陰謀」を読んでいるときに、かたいなあと感じることがあった。まるで設定をなぞっているような、テレビゲームのRPGをサクサクすすめているような印象を感じた。遊びの部分がないなあ、と。そういった点から、短編の方がすっきり、長編が意味もなく冗長に感じてしまうところがあった気がする。もっとも、これはこの作品がとてもおもしろいという前提の上で話される議論であって、ないものねだりに近いものなのだけれどもね。
 そんなことより、今回も長門さんはすばらしかったよ。長門さんの頭の中でどんな思いがめぐっているのか、妄想爆発だよ。長門さん………。