タテ社会の人間関係

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

 西洋の枠組みを使わずに、日本の社会構造をとらえてみようという本。1967年とあまりに昔の本だというのが難点だが、充分読ませる。しかし、そのころからずっと、絶版になっていない講談社現代新書ってすごくめずらしい。これくらいじゃないの。
 社会集団の構成の要因を調べると、「場」と「資格」という2つの原理が設定できる。日本の「イエ」制度などに見られるものが前者、インドのカースト制度などに見られるものが後者である。
 「場」の原理が見られる社会には、枠によって閉ざされた社会が形成される。本書では、このような社会をタテ組織と呼ぶ。
 タテ組織とヨコ組織の区別の仕方は少しやっかいだ。タテ組織では、集団の孤立生という点に力点がおかれる。ヨコ組織では、異なる諸集団をクロスカットするようなネットワークを形成する。これも前者は日本で、後者はインドと解釈できる。
 日本における民主主義は、人々の能力差を認めようとしない。人間はだれもが等しい能力を持っていると、かんがえている(そんなハズないのに)。これが「資格」の原理を抑圧する。これにより、日本人は努力を惜しまず、日本の社会が稼働的であるという背景になっている。江戸時代より日本の農村で、3代つづいて上層を占め続けてきた家は少ないらしい。それが証拠になっている。また、このような社会では必然的に同類を敵視するようになる。
 上の文章には、ハッとさせられた。