羊の歌
- 作者: 加藤周一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1968/08/20
- メディア: 新書
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興味を引かれたのは、やっぱりマティネ・ポエティックのぶぶん。書かれている分量はほんとに少しだけ。加藤本人はマティネ・ポエティックを失敗だとは考えていない。マティネ・ポエティックの不幸について加藤は、前世紀末のフランス象徴主義の詩人たちを夢見たことであり、それは不可能な夢想の企てであったところにあるとしている。日本語における脚韻詩の可能性は十分に存在していると述べる。
僕にはそんなところも含めて、若い芸術家たちの夢想への挑戦であったと感じる。社会を知らない若者と、社会の価値を認めない芸術家は、ささやかな幸福を見つけることができず、実現不可能な夢想の中に生の実存を感じてしまうのだろうと思う。