“劇的”とは
- 作者: 木下順二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/08/21
- メディア: 新書
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
まず、ヨーロッパ古典劇の話。アリストテレスはドラマの中から3つの点を指摘している。「発見」と「逆転」および「浄化」である。
日本古典劇とは、能や狂言そして歌舞伎というものになるが、これらは演じる役者がみな違う。これがヨーロッパの演劇とはっきり違う点である。
日本語について。
つまり文章はすべて、何とかナリ式に書かれていたのが、何とかゴザルと改められて、やがて二葉亭四迷が噺家の三遊亭円朝の口調をもとに、何とかダ、という文体をつくりだし、山田美妙が、何とかデス、という表現を考え、尾崎紅葉が、何とかデアル、という調子の文章を書き始め、ほかにも幸徳秋水とか堺利彦とか内村鑑三とか、進歩的な文筆家が加わって50年、厳密にいえば半世紀以上、1世紀近くかかって言文一致運動は進められたわけです。(p,112)
平家物語。「科学は問題を解決するが、古典は問題を提示する」とチェーホフは言ったらしい。これを受けて筆者は『平家物語』を題にとり、永遠に古典は問題をわれわれに提示しつづけると書いている。