続名画を見る眼

続 名画を見る眼 (岩波新書 青版 E-65)

続 名画を見る眼 (岩波新書 青版 E-65)

 構成は、前作とまったく同じである。1人の画家より1つの作品を取り上げて、それに簡単に論じていく。今回は印象派以降から、現代絵画までが範囲となっている。おもしろいところは多かったが、そのなかからいくつかをメモしておく。
 ルネサンス期以降、画家たちは3次元の現実の世界をキャンバスの2次元の世界の上に定着させようとしてきた。しかし、印象派の、特にセザンヌ以降の絵画は、絵画の2次元性と現実の3次元性の融合を夢見ている。セザンヌはそれを、色彩によってなそうとし、ピカソのフォルムによっての達成をねがった。
 多くの芸術家たちが、娼婦や旅芸人などの社会のアウトサイダーたちを好んで描くようになるその理由には、時代の変化により、芸術家自身がパトロンを失い、社会の余計者になっていく過程と比例している。

「絵画とは、戦場の馬とか、裸婦とか、その他何らかの対象である前に、本質的に、ある一定の秩序で集められた色彩によって覆われた平坦な面である」(p,142)