砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

 ああ、すごい。こりゃすごい、傑作だ。
 噂に違わぬ、噂以上のおもしろさだった。ああこれは傑作だな、と読みながら気づいて、読了後、間違いなくこれは傑作だと確信する。
 地方の寂れた街で生きるふたりの少女。ひとりは現実性を手助けにしてじっと足下をながめ、ひとりはわざと何も気づかないふり。誰も何も知らないうちに、社会の牙が次第次第に搾取していく、少女たちの未熟なこころ。少女たちは何を信じて、何に頼って、何を求めるの。
 小説的技巧がすばらしい。物事の提示のタイミングが絶妙だった。ものすごい小説的体験だ。すげえ才能だな、おい。