大正時代の身の上相談

大正時代の身の上相談 (ちくま文庫)

大正時代の身の上相談 (ちくま文庫)

 大正時代の新聞の紙面より、身の上相談の部分を切り抜いて構成されている。
 さすがに時代を感じさせる相談が多いが、程度の差こそあれ、現代と人々の悩みなんて変わらないのだなと思う。人間はいつだって、実体のない幻想に振り回されて、頭を抱えながら生きていくのだなあ、としみじみ哀しくなる。

綺麗な靴を履いていたものは、心して泥濘をよける。だが、いったん靴が泥に染まると、だんだん泥濘を恐れなくなる。(p,227)